経営・マネジメント

人間関係が影響する?工務店における従業員満足度(ES)とは

人間関係が影響する?工務店における従業員満足度(ES)とは

従業員一人ひとりにのびのびと力を発揮してもらい、組織全体のパフォーマンスを高めるためには「従業員満足度(ES)」の向上を目指すことが大切です。従業員満足度の改善を図ることは、社内の働きやすさや人間関係を向上させることにもつながります。

今回は、工務店における従業員満足度の重要性や具体的な改善の方法について詳しく見ていきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.従業員満足度(ES)とは
    1. 1.1.企業理念・業務内容
    2. 1.2.マネジメントや評価への納得感
    3. 1.3.労働環境
    4. 1.4.待遇・福利厚生
    5. 1.5.人間関係
  2. 2.従業員満足度が高い、もしくは低い工務店の特徴
    1. 2.1.従業員満足度が高い工務店の特徴
    2. 2.2.従業員満足度が低い工務店の特徴
  3. 3.従業員満足度の向上で得られるメリット
    1. 3.1.業務の効率化・生産性の向上
    2. 3.2.顧客満足度の向上
    3. 3.3.人材定着率の向上
    4. 3.4.人材採用力の強化
  4. 4.<ケース別>従業員満足度を高める方法
    1. 4.1.業務内容が原因の場合
    2. 4.2.マネジメントが原因の場合
    3. 4.3.労働環境が原因の場合
    4. 4.4.待遇・福利厚生が原因の場合
    5. 4.5.人間関係が原因の場合
  5. 5.従業員満足度を調査するポイント
    1. 5.1.調査内容
    2. 5.2.調査手順
    3. 5.3.分析手法

従業員満足度(ES)とは

「従業員満足度」とは、従業員が職場に対してどの程度満足しているかを表す指標のことです。従業員満足度は従業員のモチベーションや帰属意識、生産性にも大きな影響を与える指標として、人材管理において重視される場面が増えています。

ここでは、どのような要素が従業員の満足度に影響を与えるのかについて、5つの要素に分けて見ていきましょう。

企業理念・業務内容

企業理念や経営ビジョンへの共感度合いは、従業員満足度を大きく左右する要素です。会社の考え方に共感できていれば、企業の将来性にも期待ができ、自然と帰属意識や貢献意欲が高まっていきます。

それには、企業全体の価値観だけでなく、日々の業務内容にもどれだけ共感が得られているかが重要となります。目の前の業務が社会にどのような貢献を果たしているのか、業務を通じて自分がどのように高められていくのかなどを理解しているほうが、従業員満足度は高くなるでしょう。

マネジメントや評価への納得感

上司や管理職によるマネジメントや、人事評価に対する納得感も従業員満足度に大きな影響を与えます。「実力が正当に評価されていない」「人事評価に不公平感を覚える」といった場合は、どうしても不満や不信感が蓄積され、従業員満足度も低下していくでしょう。

反対に、自身の努力や能力が適切に評価されていると感じられれば、従業員満足度もそれに合わせて向上していきます。

労働環境

ワークライフバランスを重視する価値観が主流になっていくなかで、働きやすい労働環境であるかどうかも重要なポイントとなっています。たとえば、「リモートワークや時短勤務に柔軟に応じてもらえる」「残業時間が短縮されている」といった前向きな要素が見られれば、従業員満足度も向上しやすくなります。

待遇・福利厚生

給与などの待遇や福利厚生は、悪化すれば従業員の不満を招く直接的な要因となります。業界の水準や労働負荷などを踏まえて、自社の水準に問題がある場合には早急に是正する必要があります。

人間関係

社内の人間関係は、従業員の離職原因の上位に挙がる主要な問題です。ハラスメントやコミュニケーション不全、風通しが悪い社内環境などは、従業員にとって強いストレスの原因となります。

反対に、「何でも相談できる上司や先輩がいる」「従業員同士のコミュニケーションが活発」といったケースでは、自然と従業員満足度も高くなりやすいといえます。

従業員満足度が高い、もしくは低い工務店の特徴

工務店における従業員満足度には、具体的にどのような要素が影響を与えるのでしょうか。ここでは、従業員満足度が高い場合と低い場合のそれぞれについて見ていきましょう。

従業員満足度が高い工務店の特徴

従業員満足度が高い工務店では、次のような特徴が見られます。

■主な特徴


  • 仕事にやりがいを感じている
  • 自社の製品・サービスに自信を持っている
  • 自発的な行動や創意工夫が見られる
  • 生産性、顧客満足度が向上する



従業員満足度の高い工務店では、従業員それぞれが自身の業務にやりがいや誇りを感じ、自社が提供するサービスや製品にも自信を持っている場合が多いです。日々の仕事を心から楽しめるため、自発的な行動や創意工夫が生まれ、会議などにおいても積極的な意見・提案が増えるのが特徴です。

その結果、組織全体としての生産性やサービスの質が向上し、顧客満足度も高まるという好循環が生じます。

従業員満足度が低い工務店の特徴

一方で、従業員満足度が低い工務店では、次のような特徴が見られます。

■主な特徴

  • コミュニケーション不足
  • チームワークが弱い
  • 変化が望まれない
  • モチベーションが低い


コミュニケーションが不足している会社では、お互いに対する不信感や不満が募りやすくなり、どうしても満足度が低下してしまいます。モチベーションが低下しても、再び浮上するきっかけが得られないため、ますます満足度が下がるという悪循環に陥ってしまうでしょう。

また、挑戦や成功への意欲が薄れるとともに、失敗への抵抗感が強くなるため、会社全体として変化を望まない気風が強くなってしまうでしょう。

従業員満足度の向上で得られるメリット

従業員満足度の向上を目指すことで、工務店には実際にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、主な効果を4つに分けてご紹介します。

業務の効率化・生産性の向上

従業員満足度が改善されれば、組織全体のモチベーションも向上するため、業務効率化や生産性向上につながります。積極的に業務に向き合うメンバーが増えれば、業務のムダが省かれ、効率的なシステムが構築されていきます。

また、従業員同士のコミュニケーションも円滑になるため、情報伝達不足やすれ違いによるミスも減少していくでしょう。

顧客満足度の向上

従業員のなかで自社や自社が扱う商品・サービスに対する共感が深まれば、顧客サービスにもよい影響が生まれます。親身になって顧客対応ができるようになり、お客さまの目線に立って提案できるようになる場面が増えるため、組織全体としてのサービスの質が向上していくのです。

人材定着率の向上

従業員満足度が高まれば、自社で長く働きたいという従業員も増えるため、人材の定着率が向上していきます。人材定着率が向上すれば、組織全体としての戦力が安定するとともに、人材採用のコストを削減することも可能です。

その結果、人材育成や福利厚生にコストを回せるため、さらなる従業員満足度の向上を目指せるようになります。

人材採用力の強化

従業員満足度改善の取組みによって社内環境が改善し、福利厚生が向上すれば、社外的なイメージアップにもつながります。実際に定着率が高まれば、求職者に対してもよいイメージを与えられるため、採用市場における優位性を確立しやすくなるでしょう。

自社の人材採用力が強化されるため、多くの人材を獲得することにつながります。

<ケース別>従業員満足度を高める方法

従業員満足度を高めるには、自社の状況をしっかりと分析し、不満につながっている原因を特定することが重要です。ここでは、従業員満足度を高める方法を主な原因別にご紹介します。

業務内容が原因の場合

業務内容に不満が集まっている場合は、従業員それぞれと丁寧に面談を行い、さらに詳しい原因を探る必要があります。本人の能力と担当業務のミスマッチが目立つようであれば、スキルマップを作成し、強みを生かせる配置を検討し直すとよいでしょう。

また、単調な業務による疲労感や、キャリア形成に対する不安が生じている場合は、ジョブローテーション制を導入してさまざまな経験ができるような仕組みを整えるのも一つの方法です。

マネジメントが原因の場合

マネジメントに不満が集中している場合は、改めて人事評価の仕組みやプロセスを見直し、自社の適性に合ったシステムを構築していきましょう。また、管理職者や責任者の研修を実施し、地道にマネジメントスキルを育てていくことも重要な施策といえます。

労働環境が原因の場合

労働環境が従業員満足度の低下を招いている場合は、従業員一人ひとりに丁寧なヒアリングを行い、困っていることや悩みを拾い上げてみましょう。そのうえで、「リモートワークや時短勤務制の導入」「システムツールの活用による業務効率化」などによって、社内環境の改善を推進していくことが欠かせません。

待遇・福利厚生が原因の場合

給与待遇や福利厚生に原因がある場合は、まず人事評価のあり方を見直し、必要に応じて評価基準を開示し、フィードバックのための面談を行います。また、能力が高い従業員からの不満が強い場合は、部分的に成果主義を導入したり社内副業を認めたりして、不公平感を解消するのも有効な方法です。

なお、福利厚生については従業員によってニーズが大きく異なるため、改善に着手する際には丁寧に現場の意見を求めることも大事です。財源確保には限りがあるため、可能な範囲で従業員が求める施策を導入し、活用しやすい環境を整えましょう。

人間関係が原因の場合

人間関係に原因がある場合は、社内コミュニケーションの仕組みを改善していくことが必要です。従業員が安心して意思疎通を図れるようにするためには、ざっくばらんに話し合える風通しのよい社内風土をつくらなければなりません。

そのためには、チャットツールやフリーアドレス席、ランチミーティングなどの導入によって、手軽にコミュニケーションが図れるような仕組みを整えるのも有効です。また、従業員同士がお互いを評価し合う承認・賞賛制度を取り入れ、お互いへの関心度を高めるのも一つの方法です。

従業員満足度を調査するポイント

前述のように、従業員満足度を高める方法は状況によって異なるため、まずは現状を詳しくリサーチする必要があります。最後に、従業員満足度を調査する方法について見ていきましょう。

調査内容

従業員満足度調査では、次のような項目にわたってアンケートを行うのが一般的です。

従業員満足度調査の主な項目

  • 業務内容
  • 業務負担の度合い
  • 人間関係
  • 上司との関係、マネジメント
  • キャリア形成
  • 教育・育成システム
  • 企業文化
  • 職場環境
  • ハラスメントや不快な言動の有無
  • 労働条件
  • 給与・待遇・福利厚生
  • 企業理念・経営ビジョン


それぞれの項目について、数値による評価を行ってもらうとともに、必要に応じて自由に意見を求めると効果的です。特に数値が低い項目は、優先的に解決すべき課題としてピックアップし、取組みの改善に役立てましょう。

調査手順

従業員満足度の調査は、次のような手順で行います。

従業員満足度調査の手順

1

調査目的の明確化・周知

2

調査方法の決定

3

調査の実施

4

データ集計・結果の分析

5

結果のフィードバック

6

改善活動


​​​​​​​まずは調査を行う目的を明らかにし、従業員全体にきちんと共有しましょう。このとき、結果が人事評価や処遇に影響しない旨を明示し、秘密保持のルールを徹底することも伝えておくことが大切です。

続いて、調査方法の策定に入ります。調査方法には匿名アンケートやヒアリング、ツールやチェックリストの活用などがあるので、自社の実情に応じて適切なものを選びましょう。

調査を実施したら、データを集計して分析を進めます。数値による定量評価だけでなく、個々の意見を踏まえた定性的な評価も行い、できるだけ正確に状況を把握することが大切です。

結果の分析が済んだら、従業員全体にフィードバックを行い、「どのような点に問題があるのか」「今後どのように改善していくのか」を共有しましょう。その後は、得られたデータを基に、優先的な解決課題を洗い出し、改善活動を進めていきます。

分析手法

調査結果を一歩深く掘り下げるためには、さまざまな分析手法を活用することも重要です。代表的な方法としては、項目ごとに数値を集計して、うまくいっている点や改善すべき点をあぶり出す「単純集計」が挙げられます。

また、回答者の属性を年代や部署などで分け、回答結果を組み合わせてより細かな課題を把握する「クロス集計」も効果的な方法です。基本的には単純集計で課題の全体像を把握し、クロス集計で細部の課題を拾い上げていくという方法が有効といえます。

反対に、満足度が高い従業員のデータを分析し、その共通点や傾向をつかむ「満足度の構造分析」という方法も効果的です。どのような施策やマネジメント環境が満足度を高めるのかについて、リアルな集計結果から把握することができます。


●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:従業員満足度とは?
A:
従業員が職場に対してどの程度満足しているかを表す指標です。従業員満足度は自従業員のモチベーションや帰属意識、生産性に大きな影響をもたらすと考えられており、人事領域では重視されるケースが増えています。

Q:従業員満足度を高めるメリットは?
A:
主なメリットとしては、「生産性の向上」「人材定着率の向上」「顧客満足度の向上」などが挙げられます。また、定着率が向上すれば、人材採用においても求職者に与える印象がよくなるなどの効果が期待できます。

Q:従業員満足度を向上させる方法は?
A:
従業員満足度が上がらない原因を特定し、それに合わせた施策を実行することが大切です。たとえば、業務内容に不満が集まっている場合は、スキルマップの作成やジョブローテーション制の導入といった方法が考えられます。


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編集部
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工務店・ビルダー、新築一戸建て販売会社様を支援すべく、住宅営業のノウハウや人材採用、住宅トレンドなど、様々なジャンルの情報を発信してまいります。

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