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第11回【工務店の資料請求カタログ・パンフレット】制作会社に外注するとき、結局なにをどうすればいいの?

今回は、資料請求のカタログ・パンフレットを制作会社に外注するとなったとき、工務店様はなにをどうやって進めればいいのか、ということを制作会社の視点からお伝えしたいと思います。

なお、できるだけ一般的なことを説明しようと努めましたが、どうしても根拠が「弊社の場合」となってしまう箇所もあります。都度都度「弊社の場合」などの注釈を入れるとうるさくなると思いましたので入れておりませんが、その点をご留意いただければ幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに、つくるものを決める
  2. 2.制作会社の選び方
  3. 3.制作会社に問合せ~相談
  4. 4.制作会社からの提案と見積もりを確認する
  5. 5.制作スタート~確認作業~校了まで
  6. 6.納品までのスケジュール

はじめに、つくるものを決める

つくりたい資料はどんなものでしょうか。大きく分けて、「施工事例集」でしょうか、それとも「会社案内」でしょうか。または、「施工事例集」と「会社案内」を合わせて一冊にしたい、などでしょうか。

まずは、何のカタログ・パンフレットをつくりたいのか、を決めましょう。もし、迷われているなら「施工事例集」をおすすめします。なぜなら、本コラムシリーズの第一回で詳しく触れていますが、お施主様は工務店の実際の施工事例を見たいから、です。

 ≫ <第1回>資料請求のカタログ・パンフレット=「会社案内」ではない!?「施工事例集」のススメ

また、カタログ・パンフレットに掲載する項目は、工務店様自身で決めておきましょう。制作会社に「なんかいいカタログ・パンフレットをつくって」のように依頼するのはNGです。

そうするとありきたりなカタログ・パンフレットしかできません。細かく決めなくても大丈夫です。ある程度「こういう内容を入れたい」「優先順位はこれとこれ」という感じで決めておきましょう。

掲載したい項目出しの例

「施工事例はこの5邸でイチオシはこの家」←トップ

「工法と断熱の性能をアピールしたい」←優先度高

「職人自慢だから顔写真も?」

「手厚いアフターサービスは小さくてもいいので必掲」


なぜ決めていただきたいかというと、工務店様が一番、お施主様のことを知っているからです。「うちのターゲットはこんな情報がほしがるんじゃないか」「最近こんな問合せが多いからこんな施工事例がいいんじゃないか」「先日のお施主様からこんなことを聞かれたからこの情報を載せよう」などなど。

日々、お施主様と向き合っている工務店様だからこそわかることがあるはずです。ひとえにお施主様のことに思いを馳せ、掲載する項目をじっくり考えてみてください。

制作会社の選び方

掲載する項目がある程度イメージできたら、制作会社探しです。その際は、どんなところを重視して選べばいいでしょうか。「デザインがうちのお施主様の好みに合いそう」、という視点はもちろん大切ですが、工務店様の負担をなるべく抑える対応ができるかどうか、ということも考えてみてはいかがでしょうか。

制作会社を選ぶときに考えることA~Dを以下にピックアップしてみました。

[A]何をどこまで外注するかを決める
まず、外注する範囲を決めておきましょう。取材・撮影からデザイン・コピーライティング、印刷まですべて任せるのか、手持ちの撮影画像を使ってきれいにレイアウトしてもらえればいいのか、など。それによって外注できる制作会社が絞られてきます。

[B]制作会社の対応範囲をチェック
外注範囲が決まったら、それらに対応している制作会社を探します。対応範囲が合わないと、せっかく外注しても工務店様のやることが減らせずに負担がかかってしまいますので、よく確認しましょう。

< 対応可能か確認しておきたいこと >

  • プロカメラマンによる撮影
  • ライターによる取材・ライティング
  • HPなど既存資料からのリライト・編集
  • 印刷


[C]工務店領域の制作実績
制作会社の制作実績に、工務店領域のカタログ・パンフレットはあるでしょうか。必須のことではありませんが、工務店領域の実績があったほうが知識があるわけですから話が通じやすく、工務店様の負担が減ります。工務店領域のことをよく知らない制作会社に発注する場合は、一から説明する手間がかかる、と考えておきましょう。

[D]デザインのテイスト
制作実績のデザインテイストは自社のお施主様(ターゲット)が好きそうでしょうか。工務店様の好みはいったん脇へ置いておき、想定しているお施主様が好むかどうかを一番に考えて、チェックしてみてください。

ただ、実績に掲載されていなくても実際は対応可能なこともあります。制作会社の実績は他社様の媒体ですから、版権などの都合で掲載できないことがあるからです。

そのため、デザイン以外の要望を満たしている場合は一度、希望のテイストが制作できるかどうか、問合せてみるといいかもしれません。

制作会社に問合せ~相談

< 問合せ >

掲載内容のイメージが固まり、気になる制作会社を見つけたら、いよいよ問合せですね。問合せの際は、つくりたいカタログ・パンフレットの簡単な説明があると、話が早いと思います。対応範囲に対する質問がある場合は、同時に聞いておきましょう。

簡単な説明のメール文例

群馬県高崎市の●●工務店と申します。下記概要のカタログ制作を考えています。
一度相談に乗っていただけますでしょうか。
 
・注文住宅の施工事例集 12~16Pほどを想定
・事例写真は自社保有のものを使用
・印刷まで依頼希望(部数未定)
※お施主様へのインタビュー取材は対応できますか?
 
~~~~~~~~~~~~~~
お名前・電話・メールアドレス


< 相談 > 

その後、相談の日程が決まったら、当日までに掲載したい内容の資料を用意しておきましょう。本稿の1で決めた内容ですね。それを見ながら制作会社はいろいろとヒアリングを行います。また、この初回相談の場では、工務店様の思いや要望を余すことなく伝えるよう、心掛けてください。なぜなら、その後の制作会社からの提案内容や見積もりに影響してくるからです。

用意する資料

  • 掲載したい内容(項目出しした資料)

制作会社が聞きたいこと

  • カタログ・パンフレットをつくることになった背景
  • 工務店様の家づくりへの思い
  • 既存の顧客層(と狙いたい顧客層)
  • 工務店様が考える自社の強み
  • 掲載内容の詳細と優先順位
  • 画像やテキストの素材について

必要に応じて打ち合わせること

  • 取材・撮影の有無
  • ページ数
  • 判型や紙の仕様
  • 印刷の有無
  • 予算
  • 納期

多くの制作会社は、これらのことを質問しながら会話を導いてくれると思いますが、工務店様のほうで事前に想定しておくと、打ち合わせがスムーズに進みます。

制作会社からの提案と見積もりを確認する

工務店様からヒアリングした内容と資料を基に、具体的な形を提案するのが制作会社の役目。多くの制作会社では、台割案といわれる、どのページに何の情報を掲載してトータルで何ページなのか、を記載した全体構成案と見積もりで提案します。

中には表紙や中面1見開きくらいのデザインイメージを添える会社もあるでしょう。それらを確認して納得できたら正式に発注となります。発注後は料金が発生しますので、不明点があったら漏らさずによく確認してください。

ちなみに、この時に決定となるのは2つ。全体のページ割とページ数です。ここは後々変えるとなると別途見積もりとなりますので、変更したい場合はこの時に申し伝えましょう。

費用を抑えたい場合

制作会社の原価はほぼ人件費のため、小さな会社であればあるほど、値引きは難しいものです。もし、見積もりが予算を超えてしまった場合は、「自社でやることを増やす」「ページ数を減らす」「印刷の紙や部数を見直す」などでコストダウンをすることができます。詳しくは制作会社に聞いてみてください。

制作スタート~確認作業~校了まで

<制作スタート>

制作をスタートするにあたってまず必要なのは、工務店様がお持ちのデータ「素材」です。どこの何の素材が必要なのかは制作会社からオーダーされると思います。中でも「画像」は、無いとデザインが進まないことが多いので、できるかぎり速やかに送ってください。

用意する「素材」の優先順位

1

画像

2

テキスト

3

ロゴデータなど


また、画像データは大きなデータを用意してください。HP用のサイズですと印刷媒体では大きさが足りず、仮にそのまま印刷すると粗くなってしまいます。HP用にリサイズする前の元データを用意してください。

<確認作業>

制作会社から初稿が送られてきたら、内容確認です。
ほとんどの場合はPDFファイルで送られてくると思いますが、それをプリントして見てください。モニターで見るより間違いやおかしいところが発見しやすくなります。

また、修正してほしい箇所があった場合は、プリントした紙に直接書き込んでください。全部書き終えたらスキャンしてPDFで返送する、という手順です。

原稿確認作業の手順

1

制作会社から確認依頼メールが送られてくる
  └添付の原稿PDFファイルをプリントする

2

プリントした原稿を確認する
  └特に物件情報や会社概要などのデータ系と固有名詞はよく見てください

3

プリントした原稿を確認する
  └特に物件情報や会社概要などのデータ系と固有名詞はよく見てください

4

プリントした原稿に修正希望箇所を書き込む
  └書き込むことでお互いの認識の齟齬を防ぎます

5

複合機などでスキャンしてPDF添付で返送する
  └メール添付にすることで証左となります


<校了>

こうした原稿確認作業を何度か繰り返し、内容に間違いやおかしなところがなくなれば、校了です。印刷まで依頼している場合は、ここから印刷工程に入ります。

納品までのスケジュール

最後に、カタログ・パンフレットができるまでにどれくらいの期間がかかるか、の目安を紹介します。ページ数は、資料請求のカタログ・パンフレットで多い8~24Pまでの範囲としました。

ただ、期間に関しては正直、制作会社よって違いがあるところです。ですが、弊社が実際によく聞かれることでもありますので、とりあえず「弊社基準と一般的な期間の平均値はこれくらいかと思います」といったニュアンスで捉えていただければ幸いです

8~12P:完成まで1ヶ月~1ヶ月半

制作期間


2~3週間

確認期間

1~2週間

印刷期間

1週間~10日


16~24P:完成まで1ヶ月半~2ヶ月

制作期間 

3週間~1ヶ月

確認期間 

2~3週間

印刷期間 

1週間~10日


また、取材・撮影を依頼する場合は、アポイント取り~取材・撮影~画像データ納品、というステップが制作期間の前に加わります。お施主様をはじめ工務店様のご都合を合わせなければいけませんので、ここに最も期間を費やすことが多いです。したがって、スケジュールに余裕を持って進めるといいでしょう。

というわけで、今回のタイトルは、
【工務店の資料請求カタログ・パンフレット】制作会社に外注するとき、結局なにをどうすればいいの?
でした。

現場で感じてきたことをベースに考察してきましたが、少しでも工務店のみなさまのお役に立てば幸いでございます。

さて、本コラムシリーズは今回で最終回となります。これまでお読みくださった方、誠にありがとうございました!

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株式会社アドクロ 鶴田 二郎
株式会社アドクロ 鶴田 二郎
工務店とリフォーム会社に特化して活動するクリエイティブディレクター。カタログ・パンフレットをはじめ、雑誌の記事や純広など、広報・広告ツール制作の全工程に携わる。“GENBA-NIN”(※)を自称し、現場目線をたいせつにしたものづくりにこだわる。※GENBA-NIN は株式会社アドクロによる造語です

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