現場監督として女性が活躍!仕事の魅力とキャリアアップのために必要な資格を解説
多様な働き方が実現され始めた現代にあって、長らく男性的なイメージの強かった建築業界においても、少しずつ女性の活躍が目立つようになってきています。そして、女性活躍の代表的なケースとして挙げられるのが、「現場監督」としてのキャリア形成です。
今回は女性が現場監督として働くメリットや、現場監督に求められるスキル・資格、キャリアアップの基本的な考え方についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.女性が現場監督として働くメリット
- 1.1.現場監督の仕事内容
- 1.2.女性が現場監督になるメリット
- 1.3.現場監督になるために必要な資格・スキル
- 1.4.特に必須の資格はない
- 1.5.必要なスキル
- 1.6.取得しておくと役に立つ資格
- 2.現場監督を目指すときに気をつけておきたいポイント
- 3.気になる現場監督の年収をチェック
- 4.キャリアアップを成功させるための捉え方
- 4.1.知識や業務経験の棚卸しを行う
- 4.2.具体的なキャリアのイメージを持っておく
女性が現場監督として働くメリット
建設業界では長きにわたって人手不足が続いており、労働力の確保に向けて多様な人材を求める動きが見られます。そうしたなかで新たに注目を集めているのが、現場監督としてキャリアを築く女性の人材です。
どちらかといえば男性的なイメージを抱かれることも多い建設業にあって、現場監督は女性の活躍が期待されるポジションとして見られるようにもなってきています。まずは、現場監督の基本的な仕事内容と、女性にとってどのようなメリットがあるのかについて見ていきましょう。
現場監督の仕事内容
現場監督は、建築や土木などの工事現場において全体のマネジメントを行うのが主な役割です。納期や予算、品質、作業の安全性などを守りながら、計画された設計を実現するために管理や指示などを行います。
具体的には、スケジュールに沿って工事を完遂するための「工程管理」、適切な品質を確保する「品質管理」、作業員の安全を確保する「安全管理」、予算内でプランを進める「原価管理」などの業務があり、工事を適切に進めるうえで欠かせないポジションです。
女性が現場監督になるメリット
女性が現場監督を務めることには、本人と企業側の双方におけるメリットがあります。本人にとっては、「キャリアプランを描きやすい」「産休や育休からの復帰がしやすい」といった点がメリットです。
現場監督は工事に不可欠なポジションであるため、仕事を覚えれば安定したキャリアを形成しやすいといえます。仕事内容はそれほど大きく変化しないため、産休・育休からも復帰がしやすく、実力次第で収入も着実にアップさせることが可能です。
また、女性用更衣室やトイレが完備された企業も増えているなど、全体的に働きやすさが改善されてきている面もあります。一方、企業側にとっても「きめ細かな視点を持つ人材が多い」「企業のイメージアップにつながる」「女性従業員全体のモチベーションが高まる」といったメリットがあります。
現場監督の仕事では、些細な変化を見落とさないきめ細かさが必要であり、女性監督の視点が有益になる場面も多いです。また、女性の活躍を象徴するようなポジションでもあるため、女性の現場監督が増えれば、企業のイメージアップや女性従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
現場監督になるために必要な資格・スキル
現場監督は幅広い役割を担う必要があり、業務によっては専門的な知識が求められるものもあります。ここでは、現場監督に必要な資格やスキルについて見ていきましょう。
特に必須の資格はない
現場監督として働くうえでは、特に必須で取得しなければならない資格はありません。無資格や未経験でも応募できる求人もあり、実務を通じて知識やスキルを習得していくことも可能です。
しかし、資格がなければ就けないポジションもあるため、資格の取得によってキャリアの可能性は大きく広がります。
必要なスキル
必須の資格こそないものの、現場を取りまとめる重要なポジションであることから、業務を遂行するうえではさまざまなスキルが求められます。特に重要となるのは、「コミュニケーション能力」です。
現場監督は現場で働く職人だけでなく、さまざまなプロフェッショナルと連携を図りながら業務を進める必要があります。そのため、単純な会話能力だけでなく、情報を正確に捉え、他者にきちんと伝えられる論理的なコミュニケーション能力が欠かせません。
また、建設現場では天候不順や資材の入荷待ちといった予期せぬトラブルがつきものです。そのため、「トラブル対応能力」や「トラブル想定能力」「柔軟性」なども重要な資質となります。そのうえで、複数の役割を同時に担う必要があるため、「マルチタスク」をこなせる能力を持つ人材に適したポジションといえるでしょう。
取得しておくと役に立つ資格
現場監督の仕事と関連性の高い国家資格としては、「施工管理技士」が挙げられます。施工管理技士は工事全体を管理する技術や知識の保有を証明する国家資格であり、工事の内容に応じて建築や土木、電気工事といった7つの分野に分かれています。
難易度に応じて1級と2級の2種類があり、1級を取得すれば特定建設業の専任技術者、一般建設業の主任技術者および監理技術者になることが可能です。また、2級を取得すれば、一般建設業の専任技術者・主任技術者になることができます。
有資格者がいることで企業の評価が有利になり、工事によっては技術者の設置が義務付けられることもあるため、さまざまなシーンで重宝される資格です。また、キャリアの幅を広げるという点で見れば、「建築士」も有力な資格といえます。
取得すれば建物の専門的な設計にも携われるようになるため、活躍の機会を大きく広げることが可能です。
現場監督を目指すときに気をつけておきたいポイント
現場監督は責任あるポジションであり、役割も幅広いことから、繁忙期などでは残業が多くなる面もあります。現場に足を運んでチェックや打ち合わせを行い、オフィスに戻ってから事務処理を行うのが基本的な流れであるため、事務処理を間に合わせるために業務時間が長くなってしまうこともあります。
また、就職先を選ぶ際には、結婚や出産・育児、介護などのライフイベントに対応した柔軟な働き方ができる職場であるかを見定めることも重要です。近年では女性のキャリア形成をサポートする企業も増えてきているので、労務環境についてはきちんとチェックしておきましょう。
気になる現場監督の年収をチェック
現場監督の収入は年齢や経験、企業規模、資格の有無などによって変動しますが、平均で年収300万~600万円程度です。大手企業の場合は年収500万円台がボリュームゾーンとされ、平均年収は600万円を超えています。
また、中小企業は400万円台から800万円台とばらつきがあり、会社ごとに違いが見られます。基本的には本人の能力や勤続年数によって評価されるため、男女の賃金格差は比較的少ないとされるのが現場監督の大きな特徴です。
2022年度の『民間給与実態統計調査』によれば、女性の平均年収は314万円となっています。平均的な水準から見ても、現場監督の年収は高い傾向にあるといえるでしょう。
キャリアアップを成功させるための捉え方
現場監督としてのキャリアアップを成功させるためには、転職活動を始めるにあたっての準備が重要となります。最後に、キャリアアップのための基本的な考え方・捉え方について確認しておきましょう。
知識や業務経験の棚卸しを行う
キャリアアップについて考えるときには、過去の自分を見つめ直すために、歩んできた道のりを振り返ることが大切です。まずは、これまでに得た知識や経験を一つずつ棚卸しし、自身の強みや特徴を洗い出してみましょう。
たとえば、サポート業務や営業の仕事などをしていたのであれば、コミュニケーション能力などがアピールポイントとなります。現場監督の業務では、多様な背景を持つ関係者とコミュニケーションを図る必要があるため、他業界での経験も十分に生かすことが可能です。
具体的なキャリアのイメージを持っておく
一口にキャリアアップといっても、どのような結果を成功と捉えるかは人によって異なります。キャリアの考え方は、就職先の選び方にも大きく影響してくるため、あらかじめ自身の希望を明確にしておくことが重要です。
現場監督に業務内容や求められる役割については、企業ごとにそれほど大きな違いがあるわけではありませんが、長期的なキャリアの築き方には個人の価値観も大いに反映されます。たとえば、「育児が落ち着くタイミングで上位資格の取得に挑戦する」「ITスキルを身につけて差別化を図る」など、キャリアアップの戦略は多種多様です。
どのような働き方があるのかをしっかりとリサーチし、自身のライフプランに合ったキャリア形成を模索してみるとよいでしょう。
●記事のおさらい
最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。
Q:現場監督の仕事内容は?
A:現場監督は工事現場全体をマネジメントするポジションです。主な業務には「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」の4つがあり、予算を守りながら、スケジュールどおりに安全かつ安定した品質で工事を完遂させるのが役割です。
Q:女性が現場監督になるメリットは?
A:現場監督は工事に欠かせないポジションのため、仕事を覚えれば安定したキャリアプランを築きやすいのがメリットです。また、仕事内容はそれほど大きく変化しないため、産休や育休からの復帰がしやすいのも利点といえます。
Q:現場監督に必要な資格は?
A:現場監督として働くうえでは、特に必須の資格はありません。しかし、専門的な知識が求められる業務もあるため、スキルや知識の習得は避けて通れない面もあります。また、施工管理技士や建築士などの国家資格を取得すれば、さらなるキャリアアップも目指せます。
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