住宅トレンド

新しい顧客との出会いの場にもなる? 住宅会社による地域貢献拠点

新しい顧客との出会いの場にもなる? 住宅会社による地域貢献拠点

住宅会社の使命の一つとして、地域の人々のための生活インフラをつくり、地域社会の活性化や再生に貢献することが挙げられます。近年、地域の事業者や金融機関、大学や研究期間などと連携し、子どもたちや住民を巻き込んだ地域のコミュニティ拠点を開発する住宅会社の取り組みが増えています。

今回は、住宅会社が開発に携わったコミュニティ拠点の事例を取り上げます。

目次[非表示]

  1. 1.町の玄関口で地域交流を促進
  2. 2.閉校した地元高校の跡地をレンタルスペース・避難所に再活用
  3. 3.モデルハウスを地域に開かれた施設に

町の玄関口で地域交流を促進

東急不動産は、5月15日に地域共生型施設「TENOHA松前」を北海道松前郡松前町にオープンしました。

同社では、2019年から松前町で陸上風力発電事業を展開しており、まちづくりにおいても松前町と連携しています。今回、同町での事業拡大に向けた事務所拡充のため、またまちづくりのさらなる推進のため、同施設の建設に至ったということです。

「TENOHA松前」は、国道228号線「松城」バス停に隣接し、敷地面積は約1,640m2。建物は木造スレート葺き地上2階建てで、内外装材には道南杉を使用しているということです。延床面積約496m2となっています。

敷地内には、東急不動産の事務所区画と貸し事務所区画に加え、北海道まつまえ観光物産協会のサテライト拠点、松前町就職サポートセンターのサテライトオフィスを設置。また、1階にはバス待合所機能を兼用したラウンジを設け、コミュニティスペースとして地域に開放しています。

さらに、平日に有料で利用できるコワーキングスペースを備えているほか、土日祝日はラウンジとコワーキングスペースを一体的に活用したイベントを開催していく計画ということです。

同社では、「みんなでつくる、育む」をテーマとして、「TENOHA松前」が地域の生活に根差したまちづくりの活動拠点として、また観光客に松前町の魅力を周知していく開かれた拠点になることを目指しているということです。

閉校した地元高校の跡地をレンタルスペース・避難所に再活用

オープンハウスグループは、群馬県桐生市の閉校した群馬県立桐生南高校の跡地を、人々が集いさまざまな活動が生まれる拠点「KIRINAN BASE」として運営しています。

同社では社会課題である、「人口減少・少子高齢化」「都市への人口集中・地方の衰退」「社会資本の老朽化」「長期的な経済の低迷」「低い労働生産性」などの解決策の一つとして、「地域共創」を掲げています。都会と比較して、「まち・ひと・しごと」の循環が弱まっている地方の課題を解決し、地域共創を通して、やる気のある人が活躍する持続可能な社会の実現を目指しているということです。

「KIRINAN BASE」は、旧桐生南高校の校舎や、各教室、グラウンド、体育館などをレンタルスペースとして利用してもらい、地域の交流拠点として再生・活用するというプロジェクトです。貸し出すのは各スペースだけではなく、校舎内であれば学習机と椅子、黒板など、またグラウンドや体育館ではサッカーゴールやバスケットゴールなどに加えて、さまざまな備品も一緒に利用することができます。

地域のイベントや会議、部活動・サークル活動のほか、映画やドラマの撮影などの利用も想定しているということです。また、オープンハウスグループでは、2023年3月に桐生市と「災害時等における避難場所の施設利用に関する協定」を結んでいます。大きな災害が発生した際などには「KIRINAN BASE」のグラウンド、体育館を指定避難所としても活用されるということです。

同社では、「KIRINAN BASE」を地域の交流拠点として、また有事には住民に安心を与える場所として、地域住民に利用してもらい、地域への貢献を図っていくとしています。

モデルハウスを地域に開かれた施設に

LIXIL住宅研究所アイフルホームカンパニーは、創立40周年を記念し、従来のモデルハウスの概念を変えて、地域コミュニティに開かれた体験型新施設「あそべる家」を千葉県船橋市にオープンしました。

アイフルホームは、2008年からキッズデザイン思想 「こどもにやさしいはみんなにやさしい」をスローガンに掲げています。今回の「あそべる家」は、「子育てしやすい家」の実現を目指して、子どもの成長に伴うライフスタイルの変化にも対応する「将来を見据えた提案」と、住むエリアが一つの大きな家族のようになれる「地域コミュニティの形成」が必要と考えて開発されました。

2階スペースでは、アイフルホームの家づくりのベースである「キッズデザイン思想」を紹介。また1階スペースでは、「キッズデザイン思想」のなかから、子ども自身が育つ力を培う「探究心を育む、子育ち環境のある暮らし」をテーマに、暮らしのなかで探究心を育むさまざまな提案を形にしているということです。

また、「あそべる家」では暮らしにまつわるイベントやワークショップを開催するほか、地域の方に向けてスペースの貸し出しも行い、地域コミュニティの醸成の場としても活用していきます。

住宅会社が地域のコミュニティ拠点を通して地域の活性化に貢献することは、従来のモデルハウスだけではなく、地域コミュニティとの関係強化を図ることにつながります。

住まいを検討中の人だけでなく、地域の人々にとっても必要な拠点・身近な企業として認知されることも狙いの一つといえます。


●関連コラムはこちら

 ≫  【地域密着型工務店向け】自社商圏で集客に役立つエリアマーケティングとは?
 ≫  【地域に根付いた工務店向け】特定の地域に限定した集客手法11選を解説

  自社ホームページから集客を強化したい地域工務店向けの「ブランド構築&イベント集客サービス」 全国様々な工務店のリブランディングとデジタルマーケティングを支援するサービス。地域で選ばれる工務店になるための施策をご提案し、集客を増加させるだけでなく、売上や受注単価の向上に繋げます。 LIFULL HOME'S Business 注文・分譲一戸建て


株式会社住宅産業研究所(JSK)
株式会社住宅産業研究所(JSK)
1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

関連する最新コラム