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<新着>2025年の住宅商品トレンド予測

2025年の住宅商品トレンド予測

止まらない少子高齢化や物価高、トランプ政権による世界情勢の不安定さ等々、2025年も挙げたらキリがないほど、課題が山積みの1年となりそうです。激動の世の中において、今の住宅会社にはどのような商品が求められるのでしょうか?

今回は、社会的な情勢等も考えながら、2025年の住宅商品のトレンド予測をしていきます。

目次[非表示]

  1. 1.資産価値の高い、将来への安心を与えられる住宅を
  2. 2.必要十分なコンパクト住宅
  3. 3.コスパ、タイパに続く流行は?
  4. 4.あふれたコト訴求の中で埋もれないよう、ニッチ化していくべき?

資産価値の高い、将来への安心を与えられる住宅を

まず、今後の住宅商品のキーワードの1つとして「資産価値」を挙げます。物価高や不安定な世界情勢が続き、将来を心配に思う人が増えている中で、投資による資産形成というのは注目を浴びています。そのニーズに対し、住宅も資産形成の一環として提案していくというのは有効ではないでしょうか。

住宅の資産価値は、土地の価値と建物自体の価値の2つに分けられます。土地の価値については、立地によって左右されるというのは言うまでもなく、資産性という点ではやはり非常に重要な要素となってきます。改めてこのことを認識し、お客様が将来的にも損をしない土地提案ができるとよいでしょう。

建物の価値については、汎用性の高い間取りとする、性能を上げるなどで資産性向上に寄与できます。嘆かわしいことに、これまでの日本の住宅業界では、安かろう悪かろうで建物を建てて、数十年経過すると建物自体の価値はほとんどなくなってしまうというケースが一般的でした。

将来への不安が大きい現代こそ、このあり方は変えていく必要があります。4号特例縮小や断熱等級4以上の義務化が実施され、新築住宅の性能の底上げは進んできていると言えますが、基準ギリギリで満足するのではなく、より優れた性能の住宅を提供し、お客様の資産を守ることが求められるでしょう。また、定期的なメンテナンスも建物の価値を守るために大切なことです。

昨今は大手住宅メーカーを筆頭に、自社の住宅の買取保証制度も見られるようになってきており、安心感の醸成に役立てています。自社の住宅の資産価値が高いことを、土地、建物の両面からしっかりと伝えられるかどうか、そこを保証できるかというのが、不安の大きい現代においてはポイントになってくると考えられます。

必要十分なコンパクト住宅

2つ目のポイントとして挙げたいのが、必要十分なサイズ感のコンパクトな住宅です。これまでも少子高齢化の進行、生涯未婚率の増加、世帯人数の減少、ライフスタイルの多様化等を背景に、住宅の小型化が進んでいます。

住宅着工統計から持家の平均床面積の推移を見てみると、2024年(1~12月累計)の平均は113.34m2。これに対し10年前の2014年は123.89m2で、10年間で10m2以上縮小しているという結果です。さらに、20年前の2004年は134.37m2で、20年間で20m2以上床面積が縮小していることとなります。

住宅の小型化の背景には、地価や建設費の高騰も影響しており、リーマンショックの2008年から2009年にかけて、物価高等が騒がれるようになった2021年から2023年にかけては床面積の縮小幅が大きくなっています。土地面積や施工面積が抑えられれば当然、トータルコストも抑えられることとなり、不況が叫ばれる今こそ、そういった工夫は求められていると言えます。

コンパクトサイズの住宅のメリットは費用を抑えられることだけではなく、掃除などの家事の手間をラクにできることにもあります。そのメリットをより強くするため、家事ラク動線のプランと組み合わせる、IoT連携により家事を自動化する等といった提案も効果的かもしれません。いずれにせよ「家をコンパクトにすることのメリット」をしっかり伝えられるとよいでしょう。

コスパ、タイパに続く流行は?

消費行動の際に重視されるのがコストパフォーマンスです。より良いものをより安く、という考え方は人間の当然の心理と言えます。そして昨今、コスパに加えて消費行動の際に重要視されるようになったのがタイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」です。

念のためおさらいをしておくと、タイパというのは、費やした時間と、それによって得られた効果や満足度の対比、すなわち時間対効果を指します。これからの住宅一次取得者層のメインとなるZ世代は、特にこのタイパを重視する傾向にあると言われています。

この「〇〇パフォーマンス」という考えで、新たに浸透してきているのが限られた空間をいかに効率的に活用できるかという考え方のスペースパフォーマンス、いわゆる「スぺパ」です。住宅会社の具体的な取り組みとしては、段差部分や階段の下といったデッドスペースを活用して収納を設けるといった設計上の工夫や、1台で複数の機能を備えた設備における工夫等が挙げられ、前章で取り上げたコンパクトな住宅にもこの考え方は欠かせない要素となります。

そして今後重視されるようになるのではないかとにらんでいるのが、ウェルビーイングパフォーマンス=「ウェルパ」です。ウェルパは、自分の行動や購入する商品・サービスが、自分自身や社会のためになっているか、それによってウェルビーイングな状態になれるかどうかという考え方です。

住宅会社であれば、住まいの睡眠環境や浴室空間を充実させ、居住者のウェルネスを保つという提案などが行えるでしょう。情報があふれ、他者との比較もしやすく、疲弊しやすい現代において、ウェルパという考え方はますます大切になっていくかもしれません。サウナブームやスリープツーリズムの流行といった、セルフケアのムーブメントが加速していることもその裏付けと捉えられます。

あふれたコト訴求の中で埋もれないよう、ニッチ化していくべき?

そして4つ目のキーワードが、よりニッチな暮らし方提案です。住宅業界でも暮らし方提案、いわゆるコト訴求というのはすっかり定着してきましたが、それゆえに他社との差別化が難しくなってきています。その対策として、よりディープでとがった提案を行っていくというのは1つの選択肢でしょう。

例えば、住宅FCの大手であるLIXIL住宅研究所は2024年10月に「ニッチ層顧客」をメインターゲットとした「YUIE PROJECT」を開始。その第一段は「YUIE BOTANICAL」という植物を愛好する人に向けた住宅で、開始3ヶ月で約300件の加盟問合せがあったと言います。

植物のほかにも、アクアリウムが好きな人に向けての住宅、あふれかえってきているアウトドア提案の中でもサーフィンなどといった1つのものに特化させた住宅等々。例を挙げればキリがないですが、マトを絞ると、こういった提案は非常に様々なものが考えられます。

ライフスタイルの多様化、情報やモノの飽和が進み、自分に本当にフィットするものを見つけることが難しくなってきている現代。オーダーメイドのように感じられる、ニッチな暮らし方提案を求めている人は多いかもしれません。

今回は2025年の住宅商品のトレンドを予測してみました。昨今の世の中の変化は非常に目まぐるしいですが、住宅業界に限らず、様々なトピックにアンテナを張ることが、新たな家づくりのヒントを見つける助けとなるでしょう。



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株式会社住宅産業研究所(JSK)
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1976年設立、住宅業界専門の調査会社。「月刊TACT」などの情報誌・調査資料・セミナー・研修・コンサルティングなどを通じて全国の住宅会社に情報を提供する。

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